ウェビナー後のアンケートの作り方|施策を変える質問例と参加者の回答率を高めるコツ
ウェビナー終了後に参加者に回答してもらうアンケートは、参加者の満足度やニーズを把握するための貴重なフィードバックであり、商談につながる情報源としても重要視すべきポイントです。
本記事では、質問の選択や作成方法、さらには回答率を高めるためのコツなど、効果的なアンケートを実施するための要点を解説していきます。
ウェビナーにおけるアンケートの重要性
ウェビナーは、オンライン上で開催するセミナーや講演を指す言葉です。多くのBtoB企業や団体が潜在層・顕在層を問わず顧客との接点を持つ場としてウェビナーを積極的に活用しています。
終了後に実施されるウェビナーアンケートは、コンテンツの内容や進行、技術的な問題などについて、参加者の生の声を直接聞ける貴重な場所です。戦略的にウェビナーアンケートを設計することでウェビナーの質を向上させ、リードとの関係性を深めるヒントを得られます。特に自社製品の事例や製品紹介などのウェビナーでは、アンケートを通じて具体的な商談の機会を創出するチャンスでもあります。
総じて、ウェビナーのアンケートは単なるアフターフォローとしての役割だけでなく、ビジネスの成果を向上させるための重要なツールとして位置づけられます。適切な質問を設定し、効果的に回答を収集することで、ウェビナーの価値を最大限に引き出すことができるのです。
ウェビナーアンケートの効果的な作成・実施方法
ウェビナーアンケートは闇雲に実施するだけでは、十分な効果を得られません。どのような目的で実施するかを定め、その目的に応じたアンケートの質問や内容を考えましょう。また、アンケートの実施方法でも得られるフィードバックの質や量が影響します。
ここでは、アンケートを効果的に作成・実施するための方法を具体的なステップやポイントとともに解説します。
質問の選定と構成について
ウェビナーアンケートで参加者からより価値あるフィードバックを受け取るためには、質問の選定と構成が重要です。以下3つの項目に注意しましょう。
目的の明確化
アンケートを実施する目的は必ず明確に設定しましょう。目的を曖昧にしたままアンケートを作成してしまうと、せっかく集めた結果もよくわからないものになってしまいます。「ウェビナーの内容の評価」「参加者の背景知識の確認」「次回のウェビナーのテーマの提案」など、目的を具体的に設定することで意味のない質問を省くことができ、質問内容や形式を選定しやすくもなります。
質問の種類
ウェビナーアンケートの質問の種類は主に「選択式」「記述式」「評価スケール」があります。選択式は回答が容易で、データの集計もしやすいため、一般的な質問や満足度の確認に適しています。一方、記述式は選択式に比べて回答のハードルが高く、集計や分析が難しくなる可能性はありますが、参加者の自由な意見や感想を得ることができるメリットもあります。
評価スケールは、満足度を段階で評価する質問で、「非常に満足」「やや満足」「どちらともいえない」「あまり満足していない」「全く満足していない」の5段階評価が一般的です。白黒はっきり付け難い質問や中立的な選択肢も含むことができ、個々の意見や心理、意識の複雑さを効果的に数値で把握できます。
設問数と順序
ウェビナーアンケートの設問数は、参加者の負担を考慮して適切な数に抑えることが望ましいでしょう。目安として、とある調査ではアンケートの所要時間は10分以内が理想であり、10分あれば30問ほどの質問が可能だと提言しています。また、質問の順序も重要で、関連する質問をグループ化したり、一般的な質問から具体的な質問へと順序をつけると、回答されやすくなります。
質問を作成する際の注意点
アンケートに記載する質問の選定と構成が決まったら、具体的に質問を考えましょう。より良い回答を得られるように3つの注意点を紹介します。
具体的かつ明瞭な表現を心掛ける
質問文は、参加者が容易に理解できるように具体的かつ明瞭な表現を心がけましょう。参加者の想定される属性に応じて専門用語や難解な言葉を避け、簡潔に質問のポイントを伝えることが重要です。
バイアスを排除する
質問文には、回答者の意見や感情を偏らせるような表現や先入観を持たせるような内容を避けることが必須です。
<注意点>
回答を得るために必要な言葉だけを使う
中立的な表現になっているか確認する
一人で作成すると偏りが生じる可能性が高くなるため、アンケートの素案を作成した後は第三者に確認してもらいブラッシュアップしましょう。
回答者によって解釈が変わる表現に気をつける
質問文には、回答者によって解釈が変わる表現を使用しないように気をつけましょう。例えば「休みの日の過ごし方」を聞きたいときに、「週末」という言葉を用いると、人によっては週末=休日ではないケースがあります。
このように質問文の表現によっては、回答結果の精度を下げてしまう可能性があります。アンケートに頻出しやすい単語としては「最近」「多い・少ない」のように、人によって感覚・尺度が変わる言葉です。
時間的表現(ずっと、最近)
頻度の表現(いつも、必ず、すべて)
量の表現(多い・少ない、大きい・小さい)
ウェビナーアンケートの作り方
ここからは、ウェビナーアンケートの基本的な作成手順を紹介します。
ツールの選定
まずはアンケートを作成するツールを選定しましょう。ツールは、回答の集計方法や必要な分析機能、他ツールとの連携など利便性などを考慮して選択する必要があります。
一般的には配信をするウェビナーツール自体に備わったアンケート機能を利用する方法と、外部のアンケートツールを利用する方法があります。外部のアンケートツールは例えば以下のようなものがあります。
Googleフォーム
Microsoft Forms
formrun など
質問の作成
ツールが決まったら、アンケートの質問の種類(選択式、記述式、評価スケールなど)や内容を決定します。質問は具体的かつ明瞭にし、参加者が答えやすいように作成しましょう。
デザインの工夫
アンケートはデザインやレイアウトも重要です。テキストを羅列させるだけではなく、質問内容に応じて画像やイラスト、図式などを取り入れながら視覚的に魅力的で、使いやすいデザインを心がけることで回答率の向上が期待できます。
テストの実施
アンケートを公開する前には、必ずテストを実施し質問の適切性や理解度を確認します。誤字脱字や不適切な表現がないかのチェックは、作成者ではなく第三者が客観的な視点で見ることが望ましく、確認者の意見を参考に必要に応じて修正やブラッシュアップを行いましょう。
また、質問そのものだけでなくアンケートページまでの導線や生成したリンクも忘れずに確認しておくと安心です。
公開と回答の収集
ウェビナーが終わったらアンケートを公開し、参加者からの回答を収集します。ウェビナー終了後で意欲の高いうちにアンケートリンクを共有し、回答者への特典案内やリマインダーの送付など回答率を高める工夫も仕掛けましょう。
結果の分析
アンケートで収集した回答を基に、結果の分析を行います。具体的な数値やグラフを用いて、参加者の意見や感想を整理し、次回のウェビナーの改善点や商談化の可能性の高いリードを見つけ出します。
収集したフィードバックや提案は、適切に分析し、実際のウェビナーの企画改善などに反映させて初めて意味を持つものです。宝の持ち腐れにしないためにも分析結果は戦略的に活用しましょう。また、アンケート結果は蓄積していくことで顧客データにもなるため、しっかりと保管しておきましょう。
視聴者の基本情報をとる質問
ウェビナーのアンケートでは、参加者のフィードバックや意見を収集するだけでなく、参加者の基本情報を取得することで、マーケティングや商談材料に活用できます。もちろん個人情報にあたりますので、プライバシーポリシーも明記しつつ、情報の扱いには十分注意が必要です。(ウェビナーの参加申込みの際に既に個人情報を取っている場合、この設定は不要です。)
ここでは、ウェビナーアンケートで視聴者の基本情報を取得するための一般的な質問内容やアイデアを紹介します。
氏名
参加者のフルネームを確認することで、後のフォローアップやコミュニケーションがスムーズに進みます。名前の読み仮名も聞いておくとなお安心です。
会社名
参加者が所属する会社名を知ることで、その会社の業界や規模、位置づけを把握し、ターゲットとしての適切性を評価できます。
役職
参加者の役職や職種を知ることで、意思決定者や影響力のあるポジションにいるかどうかを判断する材料として活用できます。
メールアドレス
フォローアップや情報提供のための連絡先として、メールアドレスの取得は欠かせません。
参加動機
ウェビナーに参加する動機や目的を知ることで、参加者の関心やニーズを把握し、今後のコンテンツ作成やサービス提供の参考になります。
業種
参加者の業種や業界を知ることで、特定の業界に対する関心や需要を評価する材料として活用できます。
ウェビナーを知ったきっかけ
どのような手段でウェビナーを知ったのかを確認することで、宣伝やプロモーションの効果を測定できます。
その他のコメントや要望
参加者からの自由なコメントや要望を収集することで、具体的なフィードバックや改善点を知ることができます。
視聴者からフィードバックを得る質問
ウェビナーの成功を評価するための重要な要素の一つが、参加者からのフィードバックです。アンケートはウェビナーの内容や進行、技術的な問題点など、さまざまな側面からの評価を得ることができます。
ここでは、参加者からのフィードバックを得るための質問サンプルを紹介します。適切な質問を設定し、ウェビナーの品質向上や参加者のニーズに応じた内容への改善につなげましょう。
ウェビナーの内容の評価…具体的な内容に関する評価を求める質問
質問例
・今回のウェビナーの内容は役立ちましたか?
・特に印象に残ったポイントは何でしたか?
進行に関するフィードバック…ウェビナーの進行や登壇者の話の内容に関する質問
質問例
・進行はスムーズでしたか?
・登壇者の説明は分かりやすかったですか?
技術的な問題点…技術的な側面からのフィードバックを得る質問
質問例
・音声や映像に問題はありましたか?
・接続に関するトラブルはありましたか?
参加動機と期待値…参加者の期待と実際の内容とのギャップを知るための質問
質問例
・ウェビナーに参加する動機は何でしたか?
・期待していた内容はカバーされていましたか?
全体的な満足度
質問例
・今回のウェビナーの満足度はどれくらいですか?
・再度、同じテーマのウェビナーがあれば参加しますか?
商品サービスについての評価…関心度や見込み客の把握に関する質問 ※ウェビナー内で商品・サービス説明を行った場合
質問例
・商品・サービスについて、関心度はどのくらいですか?
(資料がほしい/サンプルが見たい/詳しい話を聞きたい/導入済み/とくに興味はない)
アンケートから参加者の声を吸い上げることで、ウェビナーの質を向上させるための具体的なアクションを計画できます。
改善点・提案に関する質問
ウェビナーの成果をさらに高めるためには、アンケートで参加者からの具体的な改善点や提案を収集することが不可欠です。
ここでは、改善点や提案を収集するための質問サンプルを紹介します。
具体的な内容の改善を求める質問
質問例
・今回のウェビナーの内容で、もっと詳しく知りたかったトピックは何ですか?
・あえて挙げるなら、どの部分が難しく感じましたか?
進行や登壇者に関する改善点
質問例
・講師の話し方や進行で気になった点はありますか?
・話の内容についていけなかった箇所はありますか?
技術的な改善点
質問例
・使用したウェビナーツールに不満点はありますか?
・接続や画質、音質に関して改善してほしい点はありますか?
提案や要望
質問例
・今後のウェビナーで取り上げてほしいテーマやトピックはありますか?
・ウェビナーの開催頻度や時間帯に関する要望はありますか?
その他の改善点や提案
質問例
・今回のウェビナーに関して、その他の改善点や提案があれば教えてください(自由回答形式)
アンケートで直接フィードバックを受けることで、自社のウェビナーの課題が明確化します。改善が必要な点はなるべく早く反映し、次回以降に生かしましょう。
ウェビナーアンケートの回答率を高めるためのコツ
ウェビナーアンケートは、回答率が高ければ高いほどサンプルを多く収集できます。参加者からの貴重な意見やフィードバックを得るために、アンケート回収率を高める工夫を凝らしましょう。
ここでは、アンケートのデザインや内容の工夫など、アンケート回答率を向上させるためのコツを解説します。
アンケートのデザインと内容の工夫
アンケート回答率を上げるには、アンケートに対しての回答ハードルを下げる工夫が必要です。ここではデザインと内容の工夫についてのポイントをまとめました。
シンプルなデザインを心がける
テキストばかりや複雑なレイアウトのアンケートシートは、参加者の回答意欲を喪失させます。テキストも装飾もなるべくシンプルで分かりやすいデザインを心がけましょう。
質問の数を適切に制限する
アンケートの質問数が多すぎると、参加者が途中で回答を断念してしまうリスクが高まります。なるべくたくさんの意見がほしい気持ちを抑え、必要最低限の質問に絞って参加者の負担を軽減しましょう。
質問文の明瞭性
質問文は簡潔かつ明瞭に表現することが重要です。専門用語や難解な表現は避け、参加者が容易に理解できる言葉を使用しましょう。また、質問の順序や構成も考慮し、関連する質問をグループ化するなどして、回答の流れをスムーズにすると良いでしょう。
選択肢のバランス
選択式の質問においては、選択肢の数や内容のバランスが重要です。選択肢が偏っていると、回答の偏りが生じる可能性があります。
視覚的な要素の活用
グラフやイラストなどの視覚的な要素を活用することで、参加者を飽きさせず、回答の意欲を高めることができます。
回答のしやすさを追求
記述式の質問では、回答欄の大きさやフォントの選定など、参加者が回答しやすい環境を整えることが重要です。
テスト実施
実際にアンケートを公開する前に、内部でテストを行い、デザインや質問内容の適切性を確認しましょう。
アンケートの目的を明確に伝える
ウェビナーの参加者がアンケートを実施する目的や意義を理解していれば、回答の意欲も自然と高まります。たとえば、次回のウェビナーの内容向上のため、またはサービスの改善のために意見を求めていると伝えることで、参加者は自分の意見が大切にされていると感じるでしょう。
アンケートの回答時間を明示する
多忙なビジネスパーソンにとって、時間は貴重な資源です。アンケートの所要時間が短いことを強調し、例えば「3分で完了する簡単なアンケートです」といったように伝えることで、回答のハードルを下げられます。
アンケートのタイミングを逃さない
アンケートの実施はウェビナー終了間際や直後、翌日の昼休み時間など、参加者が余裕を持って回答できるタイミングが最適です。また、ウェビナー内容を覚えていて関心を引き付けているうちに実施することも重要な要素になります。可能であれば後日案内するのではなく、ウェビナーの最後にアンケート回答時間を設けて回答を募ると効果的です。スムーズにアンケートへと導けるように、導線の確保をしっかりとしておきましょう。
アンケート回答者におみやげを渡す
FanGrowthでおすすめしているのは、アンケート回答者に「おみやげ」をもたせることです。アンケートに回答した方に、登壇資料や関連したお役立ち資料の送付を約束することで回答率が上がります。たとえばChatGPTをテーマにしたウェビナーを開催したとしたら、具体的なプロンプトのテンプレートを「おみやげ」にしてあげると効果的です。
ウェビナーアンケートの効果的な活用例
ウェビナーアンケートで集めたアンケート結果は、自社の貴重な資産であり、さまざまな施策に活用できます。ここではアンケート結果を具体的にどのように活用するのか3つのケースを紹介します。
リードの育成
ウェビナー参加者のプロフィールや課題・ニーズ、関心度などの情報を基に、見込み客の発掘や育成に役立てることができます。また、MA(マーケティングオートメーション)ツールを利用している場合は、ウェビナーで得たアンケート情報を加えたスコアリングやシナリオ設定が可能になるため、より精度の高いリードナーチャリングを行えます。
▼ウェビナーを活用したリード育成について詳しく知りたい場合はこちらもご活用ください。
顧客の態度変容を促す勝ちパターン ウェビナーを活用したリード育成メソッド|FanGrowth(ファングロース)
コンテンツ制作
ウェビナーのアンケート結果は、オウンドメディアやメルマガなどのコンテンツ制作のヒントにもなります。得られたニーズから新しい施策を打ち出したり、ウェビナーでは伝えきれなかったプラスαの情報をメルマガとして配信したりとさまざまな使い道があります。また、アンケート結果そのものが独自のデータとなるため、結果の一部をコンテンツに活用することも可能です。
ウェビナーのブラッシュアップ
アンケートで得たフィードバックは直接ウェビナーのブラッシュアップに役立ちます。テーマ設定や構成、時間配分、資料の作り込み、説明のわかりやすさなどを振り返り、より満足度の高いウェビナーを目指しましょう。
まとめ
ウェビナーのアンケートはコンテンツの内容や進行、技術的な問題などについて、参加者の生の声を直接聞ける貴重な場所です。戦略的にウェビナーアンケートを設計することでウェビナーの質が高まり、リードとの関係性は着実に深化します。参加者の立場に寄り添ったアプローチで、より多くの参加者からのフィードバックを収集しましょう。
FanGrowthではアンケートで得たフィードバックをより実践的に活用し、商談へとつなげるためのノウハウも紹介しています。ぜひこちらもご活用ください。