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SaaS企業向け|成果につながるウェビナー集客法:商談率を高めるターゲット戦略の全手法

はじめに:なぜ「数」ではなく「質」のターゲット集客が重要なのか


多くのSaaS企業が直面しているのが、「ウェビナーに100名集客したのに、商談につながったのはわずか5名」という課題です。参加者数は確保できているにもかかわらず、購買意欲の高いターゲットが集まっていないため、最終的な成果に結びつかない状況が多発しています。


一方、成果を出している企業の共通点は「ターゲット含有率50%以上」を達成していること。つまり、参加者の半数以上が実際に検討フェーズにある見込み顧客であるということです。


本記事では「本当に来てほしい相手」だけを確実に集客し、成果につなげるウェビナー戦略を、具体的な事例を交えて解説します。特に、従業員100名程度のSaaS企業にとって実践可能なノウハウを厳選しています。



第1章:ターゲット集客の現実と課題

SaaS企業特有の「ターゲット分散」問題


SaaS企業のウェビナーが抱える最大の課題は、参加者の「ターゲット分散」です。無料で有益な情報が得られるウェビナーには、実際の購買検討者だけでなく、情報収集目的の参加者、競合他社の調査担当者、学生や求職者なども多数参加します。


FanGrowthの調査では、一般的なウェビナー参加者の70%が「今すぐ購入を検討していない層」で構成されていることが判明しています。将来的な見込み客にはなり得ますが、短期的な商談や受注にはつながりません。


ある文書管理システム企業では、従来月500人以上を集客していましたが、商談化率はわずか8%。しかし、ターゲットを明確に絞った戦略に変更したことで、参加者は月200人に減少したものの、商談化率は25%に向上。結果として月間1,000件のリードと100時間の工数削減を同時に達成しました。


「刺さらない」企画設計の典型パターン


以下は、集客につながらない企画に共通する失敗パターンです:


  • パターン1:テーマが抽象的すぎる

 例:「DX推進の実現方法」「働き方改革の成功事例」といった広範囲なテーマでは、誰にとっても「自分事」として感じられません。結果として、幅広い層が参加するものの、具体的な課題を抱えた真のターゲットには響かない内容となってしまいます。

  • パターン2:業界や企業規模の絞り込み不足


 例:「中小企業向け」「製造業向け」といった大まかな分類では、参加者の具体的な課題や状況にまで踏み込めません。同じ製造業でも、従業員50名の企業と500名の企業では抱える課題は全く異なります。

  • パターン3:購買フェーズの混在

 情報収集段階の参加者と具体的な導入検討段階の参加者が同じウェビナーに参加することで、どちらの層にとっても物足りない内容になってしまいます。



第2章:ターゲットが「集まる」企画設計の原則

「超具体的」ペルソナ設定による磁石効果


ターゲットが自然と集まるウェビナーの第一原則は、「超具体的」なペルソナ設定です。従来の属性ベースのペルソナではなく、その人の「今日の困りごと」レベルまで具体化することで、きてもらいたいターゲットからの興味関心度合いが一気に高くなります。

成功事例:ある企業では、「経理部門でExcel管理に限界を感じている従業員30-100名の製造業の経理担当者」という超具体的なペルソナを設定しました。さらに「月末の請求書処理で毎回残業が発生し、ミスも頻発している。上司からはコスト削減を求められているが、システム導入の予算承認も難しい状況」という具体的な状況まで設定しました。


このペルソナに基づいて「製造業の経理担当者が月末残業を50%削減した請求書処理自動化の実践法」というテーマでウェビナーを開催した結果、参加者の85%が製造業の経理担当者となり、立ち上げ3ヶ月で60社の商談獲得を実現しました。


「痛み」に特化したテーマ設計


ターゲットが思わず「これは自分のことだ」と感じるテーマ設計では、その人が日常的に感じている「痛み」に焦点を当てることが重要です。単なる機能紹介や一般論ではなく、「今まさに困っていること」を解決する内容として位置づけます。


効果的なテーマ設計の事例

  • ×「クラウド会計システムの選び方」
  • ○「月末の締め作業で毎回徹夜している経理担当者が知るべき、作業時間を70%短縮する会計自動化の具体的手順」
  • ×「人事管理システムの活用法」
  • ○「従業員50名を超えて勤怠管理が破綻しそうな人事担当者が、来月から実践できる勤怠管理自動化の実装ガイド」


このような「痛み」に特化したテーマ設定により、該当する課題を抱えた層だけが「今すぐ聞きたい」と感じる磁石効果を生み出せます。


「限定性」による自然なスクリーニング


ターゲット以外の参加を自然に抑制する手法として、「限定性」の活用が効果的です。参加条件や対象者を明確に限定することで、該当しない層の参加を防ぎつつ、該当する層には「自分のための特別な機会」という印象を与えられます。


限定性活用の具体例
「従業員規模30-150名の製造業限定」「経理業務経験3年以上の担当者限定」「システム導入を3ヶ月以内に検討中の企業限定」といった明確な参加条件を設定することで、ターゲット層の参加意欲を高めながら、非ターゲット層の参加を自然に抑制できます。


例えばあるERP企業では、「年商10億円以上の製造業で、ERPシステムの刷新を検討中の情報システム部門責任者限定」という極めて限定的な条件でウェビナーを開催しました。参加者数は40名程度と少数でしたが、参加者の全員が条件に合致するターゲットとなり、結果として広告費を50%削減しながらも商談化率40%を達成しました。


第3章:ターゲットが自然と集まる集客戦略

セグメント特化型メールマーケティング


ターゲットを的確に引き寄せるためには、メールマーケティングにおけるセグメンテーションの精度が重要です。単なる業界分類ではなく、企業規模、導入検討のタイミング、現在使用中のシステム、過去の行動履歴などを組み合わせた多層的なセグメンテーションを行います。


セグメント設計の実践例


ターゲットを正確に捉えるには、属性だけでなく「抱えている課題」や「検討タイミング」なども含めた細かいセグメント設計が必要です。以下は、実際のSaaS企業におけるセグメント設計の具体例です。


  • セグメントA:従業員50~100名の製造業。会計システムの契約更新が6ヶ月以内に控えている企業
  • セグメントB:従業員100~300名のサービス業。人事評価制度の見直しを検討中の企業
  • セグメントC:従業員30~80名の建設業。工事管理の効率化に課題を感じている企業

このように、業種・企業規模・課題・検討タイミングを掛け合わせてセグメントを設計し、各セグメントごとに異なるメッセージを用意することで、配信時の訴求力を大きく高めることができます。


例:「御社のような規模の製造業では、こんな課題でお困りではありませんか?」というような具体的な問いかけを導入文に使うことで、受信者に“自分のための案内だ”と感じさせることができます。


インサイドセールスによる「刺さる相手」の事前特定


インサイドセールス部門は、ウェビナー集客においても大きな役割を果たします。特に、電話による接触で「本当に検討意欲のある層」かどうかを見極められることが最大の強みです。


以下のような構成でテレアポスクリプトを作ると、検討度の高い層だけを効率的に抽出できます。


効果的なテレアポスクリプトの例:

  • 「現在、○○のような課題でお困りの企業様が多いのですが、御社ではいかがでしょうか?」→ 課題感の確認
  • 「その課題解決に向けて、具体的にシステム導入をご検討されていますか?」→ 導入検討の有無を確認
  • 「検討時期はいつ頃を想定されていますか?」→ 導入時期の把握

この3ステップにより、検討度が高く、今すぐアプローチすべきターゲット層を絞り込み、ウェビナー集客の効率を最大化できます。


共催パートナーによるターゲット層の拡大


共催ウェビナーは、自社単独では到達できないターゲット層にアプローチできる有効な手段です。ただし、単純に参加者数を増やすのではなく、「同じターゲット層」を共有する企業との連携により、より濃いターゲット層の拡大を図ります。


効果的な共催パートナー選定の基準:

  • ターゲットとなる業界や企業規模が重なっている
  • 提供サービス同士に補完関係がある(例:人事×労務、経理×業務改善)
  • 顧客の購買検討時期が類似している
  • 参加者の検討フェーズ(課題感・緊急性)が同じ程度である

たとえば、会計システム会社と経費精算システム会社が共催する場合、「経理業務の効率化を検討している層」に対して、より包括的なソリューション提案ができるため、訴求力が格段に向上します。


第4章:FanGrowthによるターゲット集客の最適化

AI企画作成によるターゲット適合度の向上


FanGrowthのAI企画作成機能は、過去2,000本のウェビナーデータを基に、ターゲットに“刺さる企画パターン”を自動で生成します。ただのテンプレートではなく、指定したターゲット層の特性を踏まえ、その層が反応しやすいタイトルや構成案を提案します。


例として、「従業員50~100名の製造業で月末の経理処理に課題を抱える企業」をターゲットに設定した場合、


AI提案タイトル:「製造業特有の複雑な原価計算を自動化する経理システム活用法~月末残業50%削減の実践事例~」


このように、業界ごとの課題とターゲット特性を掛け合わせた企画を短時間で作れるため、ターゲット適合率の高いウェビナー設計が効率的に行えます。


共催マッチング機能による精密なターゲット拡張


FanGrowthの共催マッチング機能では、1,600社超の登録企業から「同じターゲット層」を狙う最適なパートナーを発見できます。業界・規模・サービス特性・顧客層の重複度など、多角的に分析し、相乗効果の高い共催を実現します。


成功事例:
人事管理システム企業勤怠管理システム企業による共催ウェビナー:

  • ターゲット:「従業員100名規模で人事業務の効率化を検討中の企業」
  • 参加者は通常30~40名 → 共催で120名に拡大
  • 参加者の80%が共通ターゲット層
  • 両社合計で商談化率35%を達成


ターゲット含有率の可視化と改善


FanGrowthには、参加者属性・商談化率などを可視化する分析機能が搭載されています。ターゲット含有率やフェーズ別成果を可視化することで、次回施策の精度を高められます。


効果測定の活用例:

  • 参加者の業界分布:製造業65%/サービス業20%/その他15%
  • 企業規模分布:50–100名45%/100–300名30%/その他25%
  • 検討フェーズ:具体的検討層40%/情報収集層50%/その他10%
  • 商談化率:製造業・50–100名・具体的検討層で55%

このデータを基に、「製造業50–100名の具体検討層に焦点を絞った企画」など、次回施策の改善が可能です。


第5章:成功事例から学ぶターゲット集客の実践法

業界特化型ターゲティングの成功パターン

製造業特化の成功事例
「従業員50〜200名の製造業で、工程管理の見える化に課題を抱えている企業」に絞ったウェビナーシリーズを展開しました。テーマは「製造現場の見える化で歩留まり率15%向上を実現した実践事例」。実際の顧客工場での改善プロセスを映像付きで紹介したことで、信頼感と具体性を高めました。


この結果、参加者の78%が製造業の生産管理担当者であり、85%が従業員50〜200名の企業に該当。商談化率は32%に達し、6ヶ月で12社の新規受注を獲得しました。



人事・労務特化の成功事例
「従業員30〜100名で人事評価制度の見直しを迫られている人事担当者」をターゲットに設定し、ウェビナーテーマを「年功序列から成果主義への移行で離職率を30%削減した人事制度改革の全プロセス」としました。制度設計から運用までの詳細なプロセスを惜しみなく公開したことで、具体的なニーズに直結。


結果として、参加者の90%が人事担当者、75%が従業員30〜100名企業であり、さらに60%が「6ヶ月以内に制度見直しを検討している層」でした。商談化率は28%、わずか3ヶ月で8社の受注を実現しました。


企業規模特化によるターゲット最適化


従業員50〜150名企業特化の成功事例
「従業員50-150名の企業が直面する『成長期特有のシステム課題』」に焦点を当てたウェビナーを開催しました。「急成長企業が陥る業務システムの限界と、最適なタイミングでの刷新戦略」というテーマで、成長フェーズ特有の課題と解決策を提示しました。


このフェーズの企業は、スタートアップから中堅企業への移行期にあり、既存システムに限界を感じつつも、大規模なシステム導入には不安を抱える傾向があります。この絶妙な立ち位置にある企業心理にフォーカスした内容により、参加者の95%が対象規模の企業となり、商談化率は40%を記録しました。


検討フェーズ別ターゲティングの実践

「今すぐ検討層」特化の成功事例
「システム契約の更新時期が3ヶ月以内に迫っている企業」という極めて具体的なフェーズにターゲットを絞ったウェビナーを実施。テーマは「契約更新のタイミングで知らないと損する、新システム移行の成功法則」。移行時の注意点や実際の成功事例を詳細に解説しました。
参加者数は30名と少数でしたが、その全員が3ヶ月以内に契約更新を控えている企業であり、商談化率は驚異の70%を達成。短期間で大きな成果を出す「集中型ターゲティング」の代表的な成功例となりました。


第6章:ターゲット集客を成功させるための運用設計とポイント

検討度の高いターゲット層に届ける運用プロセス


ターゲット集客を成功させるためには、検討フェーズが明確な層に情報を適切に届ける必要があります。そのためのステップとして以下の3つのプロセスを設計することが効果的です。


①セグメント設計


まず、業種・企業規模・職種・課題・検討フェーズを掛け合わせ、狙うべきターゲットセグメントを定義します。


例:

  • 従業員50〜100名の製造業
  • 情報システム部門の責任者
  • 紙帳票をデジタル化したいという課題あり
  • 契約更新まで6ヶ月以内

このように複数の条件でセグメントを明確化することで、メッセージの訴求力が高まります。


②配信チャネルの選定と訴求


ターゲットに最もリーチしやすいチャネル(メール/SNS広告/パートナー配信/業界媒体など)を選定し、それぞれの特性に合わせた訴求を行います。

  • メール:件名で課題を明示し、業界特化の専門性を打ち出す
  • SNS広告:ビジュアルと数秒の動画で直感的に「自分ごと化」させる
  • 業界媒体:共通課題に沿った専門的な視点で、信頼を得る
  • ターゲットに最適化されたチャネル×訴求を掛け合わせることが成功の鍵です。

③集客結果の分析と改善


ウェビナー参加後の情報を定量・定性の両面から分析します。

  • 参加者属性(業種・企業規模・職種)
  • 検討フェーズ
  • 商談化率
  • アンケート回答内容(参加動機/改善要望)

これらをもとに「次回施策に活かす分析レポート」を作成することで、精度の高いPDCAを回せます。


成功企業が実践する4つの具体的運用ポイント


テーマと訴求を一貫させる
 → 企画・集客・ウェビナー内容・フォローのすべてで同一ターゲットに響くよう設計

共催先とのターゲット共有を徹底
 → 単なる集客数増ではなく「共通ターゲットへの接触」に集中

インサイドセールスと連携して検討度を事前把握
 → ウェビナー前のスクリーニングで質の高い参加者のみを集める

商談転換率だけでなく“ターゲット含有率”も指標化
 → フィットするリードをどれだけ集められたかを重視する視点が重要


第7章:ターゲット集客の継続的改善戦略

データドリブンなターゲット精度向上


FanGrowthのデータ分析機能を活用すれば、ウェビナーごとにターゲット精度を継続的に改善可能です。参加者属性・エンゲージメント度・商談化率の相関を分析することで、「自社にとって最も成果に直結するターゲット像」を具体化できます。


継続的改善の5ステップ
ターゲット仮説の設定:過去の実績データをもとに、「誰が成果に最もつながるのか」の仮説を立てる。

  1. 企画・集客の実施:仮説に基づいてウェビナーテーマと集客手段を設計・実行
  2. 参加者属性の詳細分析:参加者の業種、規模、役職、検討フェーズなどを多角的に分析
  3. 商談化率との相関分析:商談につながった層と、それ以外の層の違いを可視化
  4. ターゲット仮説の精緻化:得られた分析結果をもとに、次回ウェビナーのターゲティングを調整

このPDCAサイクルを3~4回繰り返すことで、自社に最適な「高商談化率ターゲット層」を特定し、安定した成果につながるウェビナー運用が可能になります。


長期的なターゲット関係構築


単発のウェビナーで終わらせず、「継続的な信頼関係」を構築することが、中長期的な集客効率を高める鍵となります。定期的に価値の高い情報を届け続けることで、ターゲットから「困ったときの相談先」として認知される存在になれます。


関係構築施策の例

  • 月1回の「業界特化型」ウェビナーシリーズ
  • ターゲット限定のメールマガジン配信
  • 季節やトレンドを反映したタイムリーな情報発信
  • 参加者限定のオンラインコミュニティ運営

これらを組み合わせることで、新規ターゲットの安定的な獲得と、既存ターゲットとの関係深化を同時に実現できます。

まとめ:「本当に来てほしい相手」だけが集まるウェビナーの実現


本記事で紹介したターゲット集客術の核心は、「誰に来てほしいか」を極めて具体的に定義し、その人たちだけが「これは自分のことだ」と感じる企画・集客を徹底することです。

参加者数の多さよりも、ターゲット含有率の高さを重視することで、限られたリソースでも最大の成果を実現できます。FanGrowthを活用することで、このような精密なターゲット集客を効率的に実現し、継続的に改善していくことが可能です。

ウェビナー集客に課題を感じているSaaS企業のマーケターの皆様には、まず「本当に来てほしい相手」を明確に定義することから始めていただければと思います。そして、その相手だけが反応する企画とメッセージを作り上げることで、真に成果につながるウェビナー運営を実現していきましょう。


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記事を書いた人 FanGrowth編集部
記事を書いた人 FanGrowth編集部
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