
【イベントレポート】2026年で変わるもの、変わらないもの。AI時代の顧客行動を前提に、5社が紐解くBtoBリード獲得施策の再構築
目次[非表示]
- 1.2026年のBtoBリード獲得で「変わるもの」と「変わらないもの」
- 2.セッション01|AI時代に「展示会頼み」のマーケティング戦略はどう変わる?1,100億円の発注市場マッチングデータから見えたリード獲得の需給予測
- 3.セッション02|Web広告の獲得単価(CPA)を抑制する予算配分の最適化と運用の新手法
- 4.セッション03|集客難に対応する、商談化率を最大化するためのウェビナー体験設計
- 5.セッション04|AI回答の参照元(引用元)として選出されるための、思考プロセスに基づいたコンテンツ制作手法
- 6.セッション05|サイトから離脱する見込み顧客にアプローチする個別化マーケティング
- 7.5社が共通して語った「変わるもの」と「変わらないもの」
- 8.FAQ
開催概要
| タイトル | 2026年で変わるもの、変わらないもの。AI時代の顧客行動を前提に、5社が紐解くBtoBリード獲得施策の再構築 |
|---|---|
| 開催日時 | 【ライブ配信】 2026年5月26日(火)11:00〜12:30 【アーカイブ配信】6月2日(火) 11:00 - 12:30 / 6月8日(月) 11:00 - 12:30 |
| 参加費 | 無料 |
| 主催者 | エキサイト株式会社 |
| 開催場所 | オンライン |
テーマ | 登壇者 |
|---|---|
1,100億円の発注市場データから読むニーズ先読みと展示会ROI改善 | フロンティア株式会社 マーケティング部部長 岩田 貴幸 氏 |
LTV逆算によるCPA設定とスモールスタートのWeb広告3手法 | リードプラス株式会社 セールス部アライアンス推進責任者 小原 祐介 氏 |
集客難時代のウェビナー商談化率向上:知らずの失注をなくす5ステップ | エキサイト株式会社(FanGrowth)マーケティングマネージャー 村尾 慶尚 |
RAGとクエリファンアウトを理解してAIに引用されるコンテンツを作る | 株式会社オロパス マーケティングリーダー熊谷 誠 氏 |
離脱する99%の見込み顧客にアプローチする個別化マーケティング | 株式会社OPTEMOマーケティング責任者竹田 卓生 氏 |
2026年のBtoBリード獲得で「変わるもの」と「変わらないもの」
オープニングでは、エキサイト株式会社FanGrowthマーケティングマネージャーの村尾 慶尚が、2026年のBtoBリード獲得で「変わるもの」と「変わらないもの」について、前提となるトレンドについて解説します。
エキサイト株式会社(FanGrowth)
FanGrowth マーケティングマネージャー
村尾 慶尚
2025年7月にエキサイト株式会社に入社。FanGrowthのマーケティング責任者をマーケティングファネル全体を担当。自社でも「売上に繋がるウェビナーが開催できる」というFanGrowthのミッションを達成すべく奮闘中。
「95対5ルール」とは、BtoBで今すぐ購入を検討している顧客は市場全体の5%にとどまるため、残り95%の潜在顧客への中長期のアプローチが欠かせないという考え方です。
BtoBマーケティングでは「今すぐ買う層」の獲得に集中しがちです。しかし、そうしたアプローチで獲得できる顧客は、市場全体のうちどれほどの割合を占めているのでしょうか。
村尾「今すぐ買う人って全体の5%しかいない。買い替えサイクルが5年、つまり20四半期なので、今の四半期で買い替える人は全体のうち5%。意外と当たり前のことが、アメリカでも改めて言われています」
LinkedInのB2B Instituteが発表したトレンド調査「95-5 Rule」をもとに紹介されたこの「95対5ルール」は、シンプルなロジックで成り立っています。BtoBの買い替えサイクルは平均5年(20四半期)と言われており、ある四半期に購入を検討している企業は市場全体の5%しかいないという計算です。

さらに深刻なのが、その5%に対するアプローチが後手に回るという問題です。
村尾「BtoBの購買者の86%は、検討開始時点ですでに3社の候補リストを持っている。しかも最終的に92%がその3社の中から購入しています。つまり、検討初期に候補に入っていなかった企業が後から選ばれるという都合のよいことはほとんどない、ということが、今の時代でもデータで言われています」
Googleとベイン社の共同調査によると、商談が発生した時点ですでに3社の候補リストが揃っています。新規参入がそこへ割り込む余地は、ほとんどありません。 つまり、残りの95%である、今はまだ買わないが、いずれ買う「未来の顧客」から選ばれるための施策を講じなくてはなりません。

だからといって、今必要なのはチャネルを新しくすることではありません。チャネルをいくら追加・刷新したところで、これまで通り「今すぐ客」ばかりを狙うアプローチを続けていては、状況は変わらないからです。
セッション01|AI時代に「展示会頼み」のマーケティング戦略はどう変わる?1,100億円の発注市場マッチングデータから見えたリード獲得の需給予測

フロンティア株式会社
マーケティング部 部長
岩田 貴幸
早稲田大学卒業後、リクルートホールディングスの通信事業がスピンアウトしたネクスウェイにてマーケティング、事業企画などに従事。セキュリティSaaSのデジタルアーツにてマーケティングプロモーション部門統括を経て、チャットボット市場売上No.1のモビルスにてPR・マーケティング・デザイン部門を管掌しグロース市場上場を経験。HRTechカオナビでのマーケティングマネージャーを経て、2025年よりフロンティア株式会社に参画。同社マーケティング部門を管掌。
展示会のROIは本当に低下しているのか——データが示す実態
展示会の効果低下が語られ始めた背景には、コロナ禍を切り口に爆発的に増加したオンライン施策の台頭があります。
実際、日本最大級のIT・DX展示会といわれるJapan IT Week(RX Japan主催)は、最新ソリューションを求める全国の導入検討者や企業担当者が集まる商談の場として定着しています。コロナ禍で一時落ち込んだものの、その後のリアル回帰で来場者数は上昇傾向にあると見られていました。
ところが、フロンティア株式会社の調査によると、Japan IT Weekの年間来場者数は前年比33.5%減、平均ROIは25倍から7.5倍へと約3分の1に低下(2025年度データ)。展示会マーケティングへの危機感は確実に広がっています。

岩田氏「実際には、展示会というチャネル自体で効果が落ちているわけではありません。我々は年間20回以上出展していますが、ROASで400%を超える施策も多い。成果を出している展示会施策を分析すると、単なるリード獲得だけでなく事前のアポ設計やデモ体験を整えている企業は、高い効果を出せています」
「来場者数」に依存するマーケティングからの脱却
展示会ROIが低下する根本的な要因は、展示会チャネル自体の問題ではなく、顧客のニーズ発生タイミングを捉えられていないことにあります。手法を変えるだけでは、この課題は解決しません。
展示会の来場者の多くは情報収集段階であり、出展時に「今すぐ導入したい」という強いニーズを持っているケースはごく一部です。それにもかかわらず、ニーズ発生タイミングを無視してリード獲得数だけを追う出展を続けると、成果はイベント当日の来場者数という外部要因に左右されてしまいます。

つまり、ニーズ発生タイミングを無視した出展は、たまたま「今すぐ客」に出会えるかどうかの運任せになりやすく、再現性が低い施策になります。
来場者数が減少傾向にある今だからこそ、当日の獲得数に一喜一憂するのではなく、展示会を「顧客との接点を得る場」と捉え直す必要があります。その後にニーズが発生した適切なタイミングでアプローチする仕組みづくりが求められています。
ニーズ発生タイミングを先読みする2つの軸
フロンティア株式会社が運営する発注支援サービス「Ready Crew」では、年間総額1,100億円・月間2,000件のマッチングデータが蓄積されています。このビッグデータを活用して取り組んでいるのが、AIによる「ニーズの先読み」です。
岩田氏「Ready Crewでは、AIを使ってもうすぐニーズが発生する会社を先読みします。これは、発生可能性と獲得可能性、2つの概念で設計しています」
発生可能性とは、顧客のリプレイスサイクルの波を予測することです。 一般的にBtoBの商材やサービスには、システムの老朽化や契約更新などに伴う、一定の乗り換え周期が存在します。
それは例えば、以下のように、Web制作は2〜3年、ITシステムは3〜5年というサイクルでニーズが発生し、その期間は業種や商材カテゴリによって明確に異なります。


獲得可能性は、担当者の過去の発注傾向や類似案件の成功実績をスコアリングし、スコアが上昇中の企業にアプローチを絞り込む考え方です。無駄打ちを省くことで、限られたリソースを商談化確率の高い相手に集中できます。
「オンタイムセールスマーケティング」とは、ちょうどいいタイミングに最適なコンテンツと人的接点を掛け合わせ、信頼を設計する手法です。AIによるリプレイスサイクル予測・シーズナリティ分析・スコアリングの3要素を組み合わせ、ニーズが生まれる直前のタイミングを先読みします。

岩田氏「ニーズが読みにくい時代においては、自社を思い出してもらうことが非常に大事。できれば複数チャネルでマルチに接点を持ちながら、日頃の信頼関係に基づいて思い出していただく。ニーズが生まれた瞬間の適切なタイミングでアプローチすることが欠かせません」
セッション02|Web広告の獲得単価(CPA)を抑制する予算配分の最適化と運用の新手法

リードプラス株式会社
セールス部 アライアンス推進責任者
小原 祐介
大手人材会社を経て、2019年にリードプラスへ入社。Web広告の運用支援やパートナー企業の事業立ち上げに携わる。その後、パートナービジネスのコンサルに従事し、2025年にリードプラスへ復帰。現在は自社のセールス・マーケティング、およびパートナー協業やアライアンス推進を担当し、知見を活かしてBtoB企業の仕組み構築を支援している。
LTV300万円のとき、許容CPAはいくら?——「LTV逆算型CPA」の考え方
LTV逆算型CPAとは、媒体単価ではなく「LTV×利益率×販管費率」から受注1件に使える予算を算出し、そこから許容CPAを設定する考え方です。
小原氏「目先のリードの単価にとらわれるのではなく、受注から逆算して必要な予算や許容できるCPAを見ていただきたい。LTVが300万円、利益率30%、販管費30%なら、1件の受注に使える予算は27万円。ここから逆算していきます」

媒体ごとのCPAを5,000〜10,000円に抑えようとすると、訴求の幅も配信手法も狭まってしまいます。 しかし一方で、LTVから逆算し、「1リードに4.5万円かけても事業上成り立つ」という判断ができれば、施策の選択肢は広がります。

方法①:リスティング広告×ロングテール
検索ボリュームの大きい「ビッグワード」への入札は、資金力のある大手企業との消耗戦になり、スモールスタートには向きません。
小原氏「ビッグワードは大手との入札合戦で予算が一瞬で溶けてしまう。ロングテールと部分一致、そして除外設定の掛け合わせで、商談に直結するキーワードを絞り込んでいくことが重要です」

具体的には、以下の3ステップでキーワードを選定することで、少額でも確度の高い層を狙い撃つことが可能だといいます。
- 自然検索の流入データから、既存の流入キーワードを把握する
- 問い合わせ経路や営業現場の声から、実際の検索キーワードを取得する
- 3語以上の掛け合わせ(ロングテール)で具体的な課題を持つ層に絞り込む
このように、部分一致で柔軟に配信を広げつつ、無関係なキーワードは徹底的に「除外設定」することが、限られた予算を無駄にしないためのスモールスタートには欠かせません。
方法②:Meta広告×TOFUコンテンツ
生成AIの普及に伴い、一般的なホワイトペーパーのダウンロード需要は移行期を迎えています。そのため、まずは購買ファネルの最上部(Top of Funnel=TOFU)にいる潜在層向けの「受け皿コンテンツ」を複数用意し、どれが自社に合うかを少額でテストしていく手法が有効です。
- 📝 Check!
「TOFUコンテンツ」とは
購買ファネルの最上部(Top of Funnel)にいる認知・興味層に向けたコンテンツです。課題が顕在化した層を対象とするホワイトペーパーと異なり、まだ検討を始めていない潜在層へのアプローチに使います。解説動画・ウェビナー・無料診断ツール・実務チェックシートなどが代表的な形式です。

商談につながりやすいリードを獲得できているTOFUコンテンツとしておすすめなのは、以下の2つです。
- 視覚的に理解を深めることができる、解説動画・ウェビナー集客
- ユーザーが自ら手を動かして価値を体感できる、無料診断ツール・実務チェックシート
複数用意し、どのコンテンツが最も低コストで質の良いリードを獲得できるかを、スモールスタートで検証していきます。
方法③:HubSpot×広告連携
予算の無駄打ちを徹底的に減らすために、HubSpotに蓄積された顧客データをGoogleやMetaの媒体に読み込ませることで、配信の精度を上げる手法です。

具体的には以下のようなピンポイントな配信が可能になります。
- 既存顧客・失注リストの除外:無駄なクリック課金を防ぎ、新規見込み客に予算を集中させる
- メルマガ未開封層へのアプローチ:ハウスリストへの認知補完を広告で行う
- 類似オーディエンス拡張:受注顧客に似た特徴を持つユーザーへ狙いを定める
小原氏「皆様がお持ちのデータを媒体に連携させることによって、より角度の高い配信ができます。まずは、少額で投資対効果が合うかを確認してから、投資を拡大するステップを踏んでください」
セッション03|集客難に対応する、商談化率を最大化するためのウェビナー体験設計
エキサイト株式会社(FanGrowth)
FanGrowth マーケティングマネージャー
村尾 慶尚
2025年7月にエキサイト株式会社に入社。FanGrowthのマーケティング責任者をマーケティングファネル全体を担当。自社でも「売上に繋がるウェビナーが開催できる」というFanGrowthのミッションを達成すべく奮闘中。
ウェビナー1社あたりの集客数は、減少傾向が続いています。FanGrowthが2,000社以上を対象に集計したデータ(2023年3月〜2026年4月)でも、この傾向が明らかになっています。



- 課題・カテゴリー・サービスを整理する
- 複数ある課題の中から注力課題を1つ選ぶ
- 顧客インタビューでカテゴリーが想起されているかを確認する
- カテゴリーが想起されるために共催ウェビナー・カンファレンス・ピッチイベントを開催する
- 成果が出た施策はアーカイブ配信で再利用する
ステップ1:課題・カテゴリー・サービスを整理する
村尾「自社の製品サービスが解決できる課題は何か。その課題にお客様が直面した時にどのカテゴリーを比較するのか。その後にどうサービスが選ばれるのかという3つを整理しました」

ここで見落としやすいのが「カテゴリー」の段階です。
たとえば、顧客がリード獲得の課題を持った時、いきなり個別のサービスを選ぶのではなく、まず「展示会か、広告か、SEOか」という大枠のカテゴリーを比較します。ここで自社が属するカテゴリーが想起されなければ、サービスの比較の土俵にすら立てません。
課題が生まれた時点でカテゴリーが想起されず、比較リストに入る機会を失うことで起きるこのような失注を、「知らずの失注」と呼びます。
この「知らずの失注」を防ぎ、顧客に真っ先に自社を想起してもらうためには、「顧客のどんな課題に対して、どのカテゴリーで勝負するのが最も打率が高いか(=勝ち筋)」を明確にする必要があります。
そこでFanGrowthでは、過去の受注・失注の全履歴を分析しました。 その結果、「リード獲得」という課題に対して「共催ウェビナー」というカテゴリーでアプローチすることが、最も受注につながる勝ち筋になると特定しました。このカテゴリーを前面に押し出すことで、商談数の増加に繋がりました。

ステップ2:複数ある課題の中から注力課題を1つ選ぶ
製品サービスが解決できる課題は複数あることが多いですが、訴求する課題を1つに絞ることが、カテゴリーでの想起に繋がります。 「あれもこれもできる」と網羅的に訴求してしまうと、顧客の印象が薄れ、結局どのカテゴリーでも思い出してもらえなくなるからです。どの課題を選ぶかは、過去の受注履歴の分析から判断します。
ステップ3:顧客インタビューでカテゴリーが想起されているかを確認する
商談中の顧客に「その課題に直面した時、最初に何を検討しましたか」と聞き、自社カテゴリーが候補に挙がっているかを確認します。ここで自社カテゴリーの名前が一切挙がらない場合は、まだ市場に認知が届いていない、あるいは訴求がズレているという「施策の健康診断」になるからです。
村尾「FanGrowthの例でいうと、商談中のお客様に『リード獲得のための施策は今何をされていますか』と伺うと、ほとんどが展示会でした。つまり、当時は展示会というカテゴリーに負けていた(選ばれる土俵に立てていなかった)のです。それが分かると、打つべき手は明確になります」
ステップ4:カテゴリーが想起されるために共催ウェビナー・カンファレンス・ピッチイベントを開催する
「リード獲得といえば共催ウェビナー」という認知を広げるために、リード獲得をテーマにしたカンファレンスやピッチイベントを開催します。今回のウェビナー自体も、その取り組みの一環です。
パーソルイノベーション様の事例では、最初は採用・育成担当者向けにウェビナーを実施していましたが、商談・受注につながりにくいと判断。ターゲットをDX推進部門担当者に切り替えてカテゴリーを見直した結果、新規リード獲得数が約2倍に拡大しました。
ステップ5:成果が出た施策はアーカイブ配信で再利用する
村尾「アーカイブウェビナーの商談化率は、ライブ配信時と変わりません。1つ勝ち筋を見つけたら何度も配信することで、リソース不足を解消しながら効率的にリードを増やせます」
セッション04|AI回答の参照元(引用元)として選出されるための、思考プロセスに基づいたコンテンツ制作手法

株式会社オロパス
マーケティングリーダー
熊谷 誠
現在は、パスカルのマーケティングリーダーおよび記事作成代行サービスの責任者として、企業ごとの戦略に合わせた制作支援を行っている。
記事作成代行においては、多くの上位表示・CV獲得につながるコンテンツ実績も多数。
熊谷氏「さまざまに調べていった結果、SEOはむしろ生き残るための必須条件になる、というのが、我々の業界では当たり前になっています。AIはGoogleなどの検索結果の情報をもとに回答していますので、SEOで上位表示され、評価の高いサイトほどAIに引用されているというのが、実態としてある程度わかってきました」

熊谷氏「これまでは、ある意味人に"だけ"を意識してコンテンツを作っていればよかった。でもこれからは、人にだけじゃなくてAIにも評価されるように作っていかないと、人に"だけ"向けたコンテンツは埋もれて消えていってしまいます。人のためにもなり、かつ、AIにも引用されるコンテンツを作っていかなければいけない」
AIはどうやって回答しているのか——RAGの仕組み
そもそも、AI検索はどのような仕組みで回答しているのでしょうか。AIは自分が元々持っている知識だけで回答しているわけではありません。ユーザーの質問に対し、外部の最新情報を検索して拾い集めた上で、自分の知識と組み合わせて回答します。この仕組みをRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)と呼びます。

ここで課題になってくるのが、「ゼロクリック問題」です。ゼロクリック問題とは、AI検索の普及でユーザーが検索結果をクリックせずAIの回答だけで情報収集を完結させる現象です。Webサイトへの流入が急減するため、2026年現在多くのBtoBマーケターが直面している課題になっています。
クエリファンアウト——AIが1つの質問を複数のサブクエリに分解する
このRAGの仕組みの中でも、特に重要なのがGoogleが特許を持つ「クエリファンアウト」です。クエリファンアウトとは、AIが1つの質問を複数のサブクエリに自動分解して並行検索し、結果を統合して回答する仕組みのことです。
熊谷氏「例えば、ユーザーが『おすすめのSEOツール教えて』と聞くと、AIは『SEOツール 無料』『SEOツール 比較』『SEOツール 選び方』みたいな、いろんなキーワードで勝手に同時検索をしているんです。その検索結果をまとめて皆さんに回答を返すというのがGoogleがやっていることです。6月に北海道旅行の質問をすれば、『北海道 6月 服装』『北海道 6月 旬のグルメ』などのサブクエリ(関連キーワード)が瞬時に生成されます」


では、このサブクエリは一体どこから生まれるのでしょうか。
熊谷氏「SEOに熱心な方ならお気づきかもしれませんが、これら(AIが自動生成するサブクエリ)はほぼサジェストワードです。Googleが長年にわたって蓄積してきた膨大な検索ログがあるからこそ、ユーザーが求めているものに対して、最適なサジェストワードをパッと引き出すことができるのです」
サジェストワード対策の実践——カテゴリーキーワードを網羅する
AIがサジェストワードをベースに情報を集めているのであれば、私たちが取り組むべき具体的な対策は自ずと見えてきます。
それが、カテゴリーキーワード対策です。 自社が狙う領域(カテゴリー)に関連するサジェストワードを網羅したコンテンツを作成し、SEOで上位表示される、つまりAIへの引用元として選ばれる状態を作る手法です。
たとえば「SEOツール」というカテゴリーを狙うなら、「SEOツール 比較」「SEOツール 無料」「SEOツール 選び方」などのサジェストワードに対して確実に順位を獲得していきます。特定のカテゴリーにおいて、「何を調べてもあのサービスが出てくるな」という状態を作ることができれば、人にもAIにもそのサービスが想起されるようになります。
熊谷氏「ユーザーがSEOツールについてめちゃくちゃ色々調べているうちに、例えば『何を調べても毎回パスカルが出てくるな……』という状態になれば、人も『SEOツールといえばパスカルなんだろうな』みたいなことになりますよね。これをAIにも同じように起こすのがサジェストワード対策の本質です」

これを愚直に実践して成果を出したのが、穴吹興産という会社の事例です。2年半前、同社は「リースバック」というキーワードで上位表示を狙うべく、関連するすべてのサジェストキーワードでコツコツとコンテンツを作り続けました。その結果、1年後には激戦区の「リースバック」単体キーワードで検索3位を獲得。
熊谷氏「穴吹興産さんの場合、当初はAI対策を狙っていたわけではないんです。でも、愚直に網羅していった結果、今AIに『リースバックのおすすめ会社を教えて』と聞くと、全国規模のいろんな大企業に混ざって、四国中心に展開されている穴吹興産さんがしっかりAIの回答に出てくるようになっています」
サジェストワードを網羅してSEO評価を高める積み上げは、AI検索での引用にもそのままつながります。
セッション05|サイトから離脱する見込み顧客にアプローチする個別化マーケティング

株式会社OPTEMO
マーケティング責任者
竹田 卓生
EC事業者向けのSaaSにてBtoBマーケティングのキャリアをスタート。
経費精算システムのスタートアップにてBtoBマーケティングの立ち上げを経験後、2024年1月OPTEMOに1人目マーケターとしてジョイン。
ウェビナーカンファレンス、広告、展示会、サイト・MA運用など幅広い業務を担当。
竹田氏「サイト訪問から問い合わせに至る割合は一般的に1%が相場です。残りの99%の方は接点を持てずに離脱されている。1セッションN=1の重要性が増す現在、コンバージョンしない99%の方たちを興味がない人として切り捨てるのではなく、N=1の個別化マーケティングで向き合っていくことが重要だと考えています」
個別化マーケティングとは、サイトを訪れているのにコンバージョン(CV)しない99%のユーザーに対し、温度感が最も高い訪問の瞬間にチャットや音声でこちらから声をかける手法です。気づかないうちに起きていた失注を防ぎ、商談へとつなげます。
- 📝 Check!
個別化マーケティング(N=1マーケティング)とは
大量集客・一定率での獲得という1対Nの従来型から転換し、サイトを訪問しているにもかかわらずコンバージョンしない99%のユーザーに対し、温度感が最も高い訪問中の瞬間にチャットや音声でこちらから声をかける手法。「知らずに逃がしていた見込み客」を商談へつなげることを目的とする。
1セッション(N=1)の重要度が増している
生成AIの普及で、わざわざブラウザで検索してサイトを訪問するという情報収集行動は、以前より少なくなっています。AIで調べれば答えが出る時代に、それでもサイトを訪れているユーザーは、より温度感が高い状態で情報収集をしている可能性があります。
OPTEMO社のGA4データ(2024年6月〜2026年2月)でも、AI経由の流入構成比がChatGPT主体で78%に達するまで増加しています。

つまり、AI検索からの来訪者が急増しているということです。
1セッションの価値が相対的に高まっている中、これまでと同じ「来てもらって問い合わせを待つ」という1対Nのアプローチを続けることは、果たして有効なのでしょうか。
コンバージョン「前」が最も温度感が高い
なぜ、訪問の瞬間にチャットでアプローチする必要があるのか。
それは、サイト訪問者の温度感は、問い合わせ直前がピークで、コンバージョン後は下がっていくからです。
竹田氏「コンバージョンする前の99%の人たちが温度感を高めながら情報収集しているこのタイミングでアプローチをしていくことが、Webサイトからのリード獲得や商談獲得を増やしていく上で重要なポイントとなっています」
資料請求後に電話がなかなか繋がらない原因の一つも、CV後は「担当者からの連絡を待てばいい」という心理になり、温度感が落ちているのです。アプローチすべき最もよいタイミングは、問い合わせフォームに入力する前なのです。
「話せばわかった」見込み客を取りこぼさない
こうした問題を、ひとつのたとえで整理します。
竹田氏「あなたがもし店舗の店員だとした時に、かごに商品を入れながら迷っているお客様、きょろきょろと何かを探しているお客様、同じ商品を何度も見ているお客様——こういった方が来たら、まず声をかけますよね。でも今のWebサイトは、フォームに入力してもらって初めて存在に気づく、という状態です」
「問い合わせフォームが面倒だな」「また今度にしよう」「Webサイトに書いていないな」「これでいいのか不安だな」——こうした理由で離脱しようとしている層は、少し話せば魅力が伝わる見込み客です。こうした人たちとの接点が持てないことこそが、問い合わせ率1%というWebサイトの「もったいない」実態です。
「話せばわかった」見込み客を取りこぼさない
こうした問題を、ひとつのたとえで整理します。
竹田氏「あなたがもし店舗の店員だとした時に、かごに商品を入れながら迷っているお客様、きょろきょろと何かを探しているお客様、同じ商品を何度も見ているお客様——こういった方が来たら、まず声をかけますよね。でも今のWebサイトは、フォームに入力してもらって初めて存在に気づく、という状態です」
「問い合わせフォームが面倒だな」「また今度にしよう」「Webサイトに書いていないな」「これでいいのか不安だな」——こうした理由で離脱しようとしている層は、少し話せば魅力が伝わる見込み客です。こうした人たちとの接点が持てないことこそが、問い合わせ率1%というWebサイトの「もったいない」実態です。
OPTEMOの仕組み——サイト閲覧中にリアルタイム接客
OPTEMOは、訪問者がサイト上でどのページのどの箇所を閲覧しているかをリアルタイムで可視化し、チャットや音声通話でこちらから接触できるサービスです。個人情報の入力も不要で、店舗の接客に近い体験をWebで実現します。

離脱後の電話アプローチよりも接触率が高く、「問い合わせフォームが面倒」「また今度にしよう」「これでいいか不安」という理由で離脱しようとしている層を、その場で繋ぎとめます。
SaaS企業の事例では、問い合わせ前の訪問者にこちらから声をかけるアプローチを強化した結果、商談化率が80%に達しました。

人材業界のサービス事例では、月10〜20件以上の商談獲得を実現し、CPAとCPOの改善につながっています。
竹田氏「AIで色々効率化できる中だからこそ、実際にお客様と向き合いながら、個別化をしながらリード獲得や商談獲得をしていけるようなアプローチが重要になってきます」

5社が共通して語った「変わるもの」と「変わらないもの」
5つのセッションを振り返ってみると、AI時代のBtoBリード獲得に通じる変わるものと、変わらないものが見えてきます。
まず、変わるものは、チャネルごとの具体的なアプローチです。顧客の行動変化に合わせて、マーケティングの手法が絶えず進化していく流れはこれからも止まりません。
一方で、どんなに時代が変わっても「変わらないもの」もあります。それは、顧客の課題から逆算する設計と、検証サイクルを回し続ける姿勢です。
- 「95対5ルール」が示す、早い段階で検討候補リストに入り込む原則
- LTV(顧客生涯価値)から逆算するCPA(顧客獲得単価)の考え方
- 「課題 → カテゴリー → サービス」という顧客目線の整理
- カテゴリーキーワードを網羅して、信頼を着実に積み上げる継続性
これらは、チャネルが変わっても決してブレないマーケティングの土台です。
AIが普及し、顧客の行動が変化している今だからこそ、「何が変わったか」より「何は変わらないか」を基軸に持ちながら施策を設計することが、BtoBマーケターに求められています。
BtoBリード獲得・ウェビナーでお悩みなら、FanGrowthにご相談ください
今回のウェビナーを主催した「FanGrowth」は、BtoBマーケティングにおける「売上に繋がるウェビナー施策」を支援するサービスです。ウェビナーの企画立案から共催パートナーのマッチング、集客、商談化率の向上まで、2,000社以上のデータにもとづく知見でご支援します。
BtoBマーケティング戦略の立案や共催ウェビナーの立ち上げ、BtoBリード獲得施策の設計でお悩みの方は、ぜひFanGrowthにご相談ください。まずは下記の資料をご覧ください。
また、今回のウェビナーを含む過去のコンテンツは、会員制動画メディア「FanGrowth Studio」で視聴できます(無料)。






